【要注意】電子契約を利用するときの注意点とは?

新型コロナウイルスや少子高齢化の影響で、日本企業における働き方改革の推進は急務な課題です。こうした状況のなか、電子契約の導入を検討する企業も多く、今回は利用時の注意点を解説するので参考にしてみてください。
電子契約とは
「そもそも電子契約って何?」という方のために、どのようなものなのか簡単に説明します。
デジタル文書の契約書
電子契約とは、紙の契約書や覚書を「Microsoft Word」や「PDF」などを活用してデジタル文書化し、契約を結ぶことです。電子契約の際には、リアルな印鑑ではなく電子印鑑が用いられることが一般的となります。
リアルな契約書との相違点
そもそも企業間の契約は、両者の合意に基づいたものであれば、それだけで法的効力が発生するため、リアルな紙の契約書や印鑑は必要ありません。よって、紙の契約書がデジタル化された電子契約で契約する場合でも問題はないのです。
電子署名法では、電子署名を実施すれば電子契約でも紙の契約書と同様の法的効果が発揮されると2000年に制定されています。したがって、両者の法的効力の差はありません。
ただし、リアルな契約書は紙で管理される一方で、電子契約ではデジタル文書の管理となります。特に大きな違いとなる点は、紙の契約書はすべて人の手による作業が必要になりますが、電子契約はすべてデジタルで作業を完結させることが可能です。
電子契約のメリット
契約に関する作業をすべてデジタル化することで、工数とコストの大幅な削減が可能になります。また、紙の契約書が不要になり、紙や収入印紙、切手、押印、郵送、保管などの作業コストも必要ありません。
さらに、電子契約であればインターネットとパソコンやスマホを使うことで、いつでもどこにいても契約作業が行えます。そのため、出張が多くなかなか会社にいない上司のところで契約作業が止まるというようなケースも少なくなるでしょう。よって、社内の意思決定が早く行えるようになり、生産性も向上します。
電子契約の注意点とは
メリットの多い電子契約ですが、実際に利用する際は、以下のポイントに注意しながら進める必要があります。
取引先が電子契約を利用していることが大前提
日本企業におけるテレワークの浸透率はかなり高くなっていますが、それに比べると電子契約の浸透率はまだまだ低いのが現状です。そもそも紙の契約書を利用しないことに抵抗がある方が多いことや、セキュリティ面への懸念も多く、電子契約の利用を許可していない企業が多くなっています。
また、電子契約未導入の企業においては、電子契約を利用できる環境を準備する必要もあるため、自社が電子契約で締結したいと思っても対応してもらえないことが多いものです。よって、電子契約で契約を締結する場合は、取引先が電子契約を許可しているかどうか事前に確認しておきましょう。
紙の契約書しか利用できない契約もある
電子契約では締結できない契約がある点も留意しましょう。例えば、「定期借地契約借地借家法22条」など住宅関連の契約の中には、紙の契約しか認められていないものがあります。
したがって、いざ電子契約を導入してみたものの、実はあまり利用シーンがなかったという残念な状況にならないためにも、自社でよく使う契約書の種類を確認しておく必要があります。
紙の契約書との運用二重化
前述した2つの理由から、すべての契約業務を電子契約に一本化することは困難でしょう。そのため、多くの企業において、紙の契約書とデジタル文書による契約作業の運用二重化が発生しています。
したがって、場合によっては、運用が煩雑になり、余計な工数やコストが発生する可能性もあるでしょう。導入前に、自社の業務フローを確認して、電子契約の導入メリットについて費用対効果がどのくらいなのか把握しておく必要があります。
主な電子契約システムについて
電子契約システムは多くのベンダーからさまざまなサービスが提供されています。その中から、今回は3つのサービスをご紹介しますので、導入時の参考にしてみてください。
GMOサイン(旧 GMO電子印鑑Agree)
「GMOサイン」は電子署名機能を持つ電子契約システムで、企業間の契約をデジタル化したい企業に最適なサービスです。GMOサインの「身元確認済み 高度電子署名」を利用することで、押印者のステータスや押印記録を明確化できますので、信頼性の高い契約締結が可能になります。
もちろん電子契約に法的効力を持たせることも可能で、メールベースでの認証作業も行えますので、生産性の向上効果も期待できるでしょう。
DocuSign(ドキュサイン)
「DocuSign」は海外でのシェアが高い電子契約サービスで、最近は国内企業への導入も進んでいます。契約作業をすべてオンライン上で完結できますので、ペーパーレス化を推進したい企業にはうってつけといえるでしょう。
また、DocuSignで扱ったデジタル文書はユーザー、企業ごとに管理できますので、過去の履歴を確認したり、過去の契約書を探したりする場合も非常にスムーズです。
クラウドサイン
「弁護士ドットコム」が提供する電子契約サービスの「クラウドサイン」は、デジタル文書を使った契約締結作業を数分で完了させられる点が魅力のサービスです。また、検索機能も優秀で、さまざまなソート条件で実施できますので、デジタル文書の一元管理を実施したい企業にはうれしいところでしょう。
セキュリティ面も充分な対策が施されており、社内外のコンプライアンス強化にもつながります。
運用時に注意は必要だがメリットも多い
電子契約は取引先の企業が利用を許諾する必要があるなど制限も多いですが、工数削減や生産性の向上といったメリットもたくさんあります。運用上の注意点に留意して、適正な運用を行なってみましょう。
まとめ
これから新型コロナウイルスが落ち着いても、テレワークを導入する企業は増えると思われます。それに伴い、電子契約の導入を検討する企業も増えていくことでしょう。
一見すると、業務効率化が図れ、無駄なコストを削減できるため電子契約はメリットしかないように感じてしまいます。しかし、注意点があることも事実です。電子契約システムを導入する際には、自社の状況を踏まえ、主な電子契約サービスの特徴を把握した上で導入するようにしましょう。
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